開業の際に考えること(収入支出編)
①はじめに
②開業に必要な資金
③収入の考え方
④支出の考え方
⑤さいごに
①はじめに
以前、こちらの記事で、開業をする際の手続きについて記事を執筆させていただきましたが、今回は開業を見据えて、訪問鍼灸・マッサージを運営する上で必要なもの、また収入や支出に関する事柄をどのように考えればよいか、まとめました。
無論、これが正解というものではありませんが、ご参考にしていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
②開業に必要な資金
こちらの記事にもあるように、開業の方法は二通りあります。一つが「施術所登録」で、もう一つが「出張専門」での届出です。出張専門での開業の場合は、登録する拠点が自宅などの住民票記載の地になりますので、テナント料が発生せず、コストを大幅に抑えることができるでしょう。
必要な物品としては
・PC、タブレットなどの機器
・プリンター(FAX付だと便利)
・FAX(介護関係業種との連絡のため)
・移動手段(自転車、バイク等)及び燃料費
・名刺、リーフレットなど販促に必要なもの
・鍼灸等の施術で使う消耗品
・文房具などの小物
等が必要です。テナントを借りて施術所を兼ねる場合は、さらに必要なものも増えていきます。自分が開業する形態から、何が必要でどれだけの初期費用が必要となるか、あらかじめ計算しておきましょう。
③収入の考え方
収入を考える際に、訪問鍼灸・マッサージの料金体系をおさらいしておきましょう。
2022年6月現在の料金
マッサージ1部位 |
躯幹、右上肢、左上肢、右下肢、左下肢 |
1部位あたり350円 |
変形徒手矯正術 |
右上肢、左上肢、右下肢、左下肢 |
1部位あたり450円 |
温罨法 |
1回 |
125円 |
初検料1術 |
鍼or灸のみ |
1,780円 |
初検料2術 |
鍼・灸併用 |
1,860円 |
施術料1術 |
鍼or灸のみ |
1,550円 |
施術料2術 |
鍼・灸併用 |
1,610円 |
電療料 |
電気鍼・電気温灸器・電気光線器具使用 |
34円 |
往療料4㎞以下 |
~4.00㎞ |
2,300円 |
往療料4㎞超 |
4.01㎞~(16㎞以上は原則支給不可) |
2,550円 |
施術報告書交付料 |
再同意取得の際の同意医師への報告書 |
480円 |
この表を基に、当面の売上目標を定めましょう。例えば、月70万円売り上げたいとします。同時に、いつまでに達成、という目標期間も定めたいところです。
料金の例ですが、マッサージ5部位が4,050円で、変形徒手矯正術を含めると5,850円となります。さて、ここでは、平均単価を4,500円として考えてみましょう。
週休二日であれば、出勤日数は22日程度ですので、
70万円÷22日≒32,000円、すなわち一日に32,000円の売上が必要です。
次に、一日どれくらい施術に入れば目標に到達するか、ですが
32,000円÷4,500円=7.11…すなわち7~8コマ入る必要があります。
同意書の部位数や施術の内容、同一家屋によって単価は変動しますので、平均単価の設定の吟味、単価を上げる努力も必要となりますが、大体のイメージはこのような形となります。
次に、この数値をいつまでに達成するかの目標設定、そして目標に対して要する期間の売上の推移の予想もしておきたいところです。半年で達成するか、一年で見込むかによって動き方が変わってくると思います。
それに加え、次で説明する支出の考え方を組み合わせ、収支や経営状態がどのようになるか、予測を立てていきましょう。
④支出の考え方
支出は、大まかに二つに大別できます。一つは変動費で、売上や販売数に応じて増減する費用です。訪問鍼灸マッサージにおいては、鍼灸などの消耗品や、移動時の燃料費などが該当します。
もう一つは固定費で、売上や販売数の増減に関係なく一定額発生する費用です。テナントの家賃が典型で、他には保険料、宣伝費などが挙げられます。この固定費をなるべく下げることが、治療院運営のカギとなりますので、何が必要で何が不要な支出かを、見極めなければいけません。
雇用を行うのであれば、人件費も考慮する必要があります。人件費は、給与形態によって変動費か固定費か分かれます。業務委託で歩合制を摂るのであれば変動費、正規雇用で固定給を支払うのであれば固定費、といった要領です。
また、訪問鍼灸マッサージの大半は保険収入ですが、これは売上月から入金まで、2~3か月程度のラグがあります。初期の頃はキャッシュフローが回らなくならないように多めに資金を用意しておくと安心です。
上記の項の収入の見込みと、支出のバランスを考え、中長期的な運営方針を検討していきましょう。
⑤さいごに
いざ、自分で開業をするとなると、考えることが山のようにあります。その代わり、やり遂げた時の達成感は、格別なものとなるのではないでしょうか。山の頂上の開放感は、登った人にしか味わえません。
上記の内容が開業の際の参考となれば幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。