これから訪問マッサージを始める方がまず最初に理解しておく事
ここでは、これから保険を使った訪問マッサージや鍼灸を始める方が事前に知っておくべき内容について解説していきます。
訪問マッサージってどんなもの?
訪問マッサージとは、寝たきりや半身不随などの移動が困難な患者に対し、在宅で医療マッサージを行うことを言います。
医療保険が適応になるため、患者の負担が少ないというメリットがあります。
業界モデルの特徴
①健康保険が適応できるため、1~3割の料金でサービスを提供できる。
②施術にあたり、医師の診断と同意書が必要。
③多くの患者が介護保険も受けているため、ケアマネージャとの連携が必要。
患者の特徴
・患者の80%が70歳以上の高齢者です。
・多くが寝たきりや半身不随など、介護が必要で独歩の通院が困難な状態にあります。
介護認定を受けると、介護保険で介護サービスを受けられます。介護保険には支給の限度額があるので、ケアマネージャーが、患者にとって最適なケアプランを作成しています。
患者は、介護保険で理学療法士による訪問リハビリも受けている可能性があります。
そのため、ケアマネージャーが、患者の状態をトータルな視点で把握して、訪問マッサージも、ケアプランの中に組み込むことが望ましいです。
日 |
お休み |
|
月 |
リハビリ |
介護保険 |
火 |
生活援助 |
〃 |
水 |
マッサージ |
健康保険 |
木 |
リハビリ |
介護保険 |
金 |
生活援助 |
〃 |
土 |
マッサージ |
健康保険 |
訪問マッサージの目的
その多くは大きく下の2つになります。
①関節可動域の強固
②筋力増加
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害やパーキンソン病などの長期に渡る入院による筋力低下や関節拘縮などをマッサージや機能訓練により改善させる事を目的としています。
これらの患者はご自身による訓練が困難な場合が多く、施術者は患部へのマッサージに限らず運動法などの機能訓練を含めたリハビリが必要になる事を理解しておいて下さい。
実際の業務の流れ
ここでは実際に行う業務を大きく4つに分けて解説していきますので、登場人物とそれぞれの役割、必要書類をおさえておきましょう。
施術スタートまで
①問い合わせ
そのほとんどがケアマネからの紹介で、稀に医師からの紹介や患者の家族から直接依頼をうける場合もあります。
②カウンセリングと意思決定
実際に始める前に一度患者宅へ訪問し、患者の状態把握や、施術内容の説明、保険の確認を行い、意思決定をしてもらいます。
③同意
その旨をケアマネや医師へ伝え、医師は施術者へ同意書を発行します。
④施術開始
同意書を受け取った時間から施術の開始ができるようになります。
⑤施術計画書の共有
ケアマネよりケアプランの共有を受け、施術者はマッサージよる施術計画書を患者やご家族、ケアマネへ伝えるのが一般的です。
日常業務
基本的には施術計画書を基に施術を行っていきますが、本人や家族から体調の変化などを聞きながら施術を行います。
場合によってはケアマネから内容の指示を受けることもあります。
また、施術者が患者の異変に気付いた場合はすぐに家族やケアマネへ連携して下さい。
このように常に患者や家族、ケアマネ、医師と施術者は状態を共有することが必要になります。
施術者は療養費計算に必要な訪問回数や施術部位、移動距離、報告書に必要な施術録やカルテの記録をしておきましょう。
月末の請求業務
請求に必要な書類
保険者:
1. 療養費支給申請書
日頃残してきた施術記録を基に療養費の計算を行い申請書へ記載します。
2. 往療料内訳表
移動距離に応じた往療料を計算する為に必要な書類です。
拠点から訪問先の住所などを記載して添付します。
3. 同意書
医師による施術の同意書も必ず添付しましょう。
4. 総括表
保険者ごとに、件数や料金の合計を一枚の書類に記載する必要があります。
5. 報告書
義務ではありませんが、添付をすると「施術報告書交付料」が300円支給されます。
医師へ再同意の依頼書を提出する際に使用する報告書と同じもので大丈夫です。
患者:
・請求書、領収書
請求額が決定したら、請求書や領収書を発行し、患者から捺印と代金の回収を行います。
その他の業務
同意書の更新は毎月1回行われるので、施術者は医師へ対し施術報告書と再同意依頼書を提出する必要があります。この際、お礼状を添えてお願いするのが一般的です。
また、ケアマネにも報告書を提出しますので事前に確認が必要です。
営業はケアマネージャとの関係づくり
営業活動は、主にケアマネージャーに対して行います。
仮に直接、問合せがあっても、ケアマネージャーに報告することが大切です。もし、訪問マッサージの施術内容が、介護保険において理学療法士が行う訪問リハビリと不整合があると、患者に無理をかけてしまうことになりかねません。
定期的に経過報告書など書類を作成し、ケアマネージャーと患者の最新情報を共有することが、営業の成果を最大化するために必要です。