療養費支給申請書(レセプト)の押印廃止について
訪問マッサージ・鍼灸で使用する療養費支給申請書(レセプト)の押印廃止について
①はじめに
②制度改定の背景
③法令根拠
④署名が困難な方には?
⑤まとめ
①はじめに
今回は、訪問マッサージ・鍼灸で使用する療養費支給申請書(レセプト)押印欄の廃止について、内容をまとめてみました。
今回の改正により、月々の療養費支給申請書(レセプト)に施術管理者および患者様からの押印が不要となりました。
その代わり、療養費支給申請書(レセプト)の最下段欄「代理人申請欄」に、患者様から署名を頂く必要があります(※1)。
今までは記名押印にて対応されていた事業所が多い中、オペレーションの見直しが必要な改正となりました。
(※1) やむを得ない理由がある場合には、施術者等が代理記入し当該患者から押印を受
けること。
②制度改定の背景
保発0324第2号には下記の背景が記載されています。
「令和2年7月 17 日に閣議決定された「規制改革実施計画」において、原則として法令等又は慣行により、国民や事業者等に対して紙の書面の作成・提出等を求めているもの、押印を求めているもの、又は対面での手続を求めているものについて、恒久的な制度対応として、年内に、規制改革推進会議が提示する基準に照らして順次、必要な検討を行い、法令、告示、通達等の改正を行うこととされている。」
慣行の見直しによる押印欄の見直しですが、私達訪問マッサージ事業者にとっては、署名の代わりになる押印として運用している事業所も多いことから、患者様によっては署名を頂くことが難しい場合があるなど、運用面で見直しが必要になります。
③法令根拠
厚生労働省のページの療養費の改定等について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)にある「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費に関する受領委任の取扱いについて」の一部改正について(令和3年3月24日 保発0324第2号) [PDF:769KB]
にその記載があります。
改正前は「署名又は押印を求めること」という記述だったのが、改正後は「署名を求めること」と変更されていることがわかります。
つまり、押印が不要となった代わりに、署名が必要ということです。
また、改正に伴い、各書式に変更が見られます。
「当分の間、従来の様式を取り繕って使用することができることとする」とありますが、「当分の間」が具体的にどれくらいになるかは保険者判断になりますので、書式変更時期については保険者へご確認ください。
④署名が困難な方は?
ただ、訪問マッサージや鍼灸をご利用されている患者様の状態によっては、署名が困難である場合もあると思います。その場合は、前述した通知にて「当該患者より依頼を受けた場合や当該患者が記入することができないやむを得ない理由がある場合には、施術者等が代理記入し当該患者から押印を受けること」と記載があります。
ただ、どのような場合が「依頼を受けた場合」や「やむを得ない理由」に該当するかについての疑義解釈通知はまだ出されていませんので、こちらも合わせて保険者に確認することが望ましいと思います。
⑤まとめ
覚えておく必要があるのは
・施術管理者、患者様の押印は原則不要
・患者様からの直筆の署名が原則必要
・それに伴い、各書式に変更あり
・署名について「患者から依頼を受けた場合」又は「やむを得ない理由がある場合」は施術者等の代理記入及び患者様の押印でも良いという一文あり。
の4点です。
このような改正内容は、厚生労働省ホームページ内「療養費の改定等について」にて公表されています。最新情報を取得するためにも定期的に確認することをお勧めします。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/01.html