レセプト申請欄、委任欄の印字について
①はじめに
②前回の改定
③令和4年6月の改定
④まとめ
①はじめに
療養費支給申請書(レセプト)押印欄の廃止について、以前に記事を投稿させていただきましたが、令和4年6月に、制度の改定がありましたので、改めて変更点について書かせていただければと思います。
②前回の改定
前回の改定の要旨は、「レセプトの申請欄及び委任欄の被保険者名等は、原則として患家から直接署名をもらうこととし、それに伴い押印欄は廃止する」というものでした。
制度の変更を受けた各保険者の対応として多く聞かれたのが、「委任欄の被保険者名等はPC等での印字は不可とし、仮に代理の署名であったとしても手書きでなければならない」というものでした。
これまで印字で良かったものが不可になり、本人でも代理でも手書きで署名をいただくという解釈が多かったため、患者様に手書きで記載をいただくなど手間が増えてしまうことがありました。
これが現場の労力となり、押印廃止による事務仕事の簡略化を図ったものが、却って作業が増える結果になってしまったというお話を多く耳にしました。
③令和4年6月の改定
上記の流れを受け、事務仕事の簡略化を図るため、令和4年6月の改定で委任欄の被保険者名等も印字を可とする通達が正式に出されました。
無論、印字をした場合は押印が必要となります。保発第0524003号 (mhlw.go.jp)こちらからご覧いただけます。
疑義解釈には
「施術者等による代理記入の方法は、手書きに限らず、パソコン等による記入でも差し支えない」
とあります。
ただ、印字を可としただけでは不正対策が甘くなると考えられるためか、患者或いは被保険者本人以外が押印を行った場合は、代理で押印した理由と押印者の氏名、本人との関係を、レセプトの摘要欄に記す必要があることが疑義解釈内で強調されました。
実際の文言は
「また、患者の症状 (体を全く動かすことができない、重度の認知症など)により署名又は押印ができないなど真にやむを得ない場合に、療養費の請求権者(被保険者等)の署名又は押印を被保険者等又は患者以外の者が代理で行ったときは、代理で署名又は押印した者の氏名、請求権者(被保険者等)との関係及び代理で署名又は押印した理由を申請書に記入すること」
となっています。
患者様によっては押印が難しい方もいるかと思いますので、レセプト摘要欄へ疑義解釈通り適切な記載が求められることとなります。
④さいごに
PC等での印字も正式に認められ、レセプト作成の手間が少し削減されたという実感があります。ただ、疑義解釈の通知は上記となっていますが、保険者によって対応が異なることも十分考えられるため、開業の際や他県に初めてレセプトを出す際は、あらかじめ問い合わせをすると安心です。最初は、国保連に連絡をするとよいでしょう。