症状編～転倒・骨折～

①はじめに

②転倒・骨折の考え方

③転倒・骨折の影響

④訪問鍼灸・マッサージの関わり方

⑤さいごに

①はじめに

こんにちは！今回のブログはアッシュが担当させていただきます、よろしくお願いいたします！

　今回で症状編も5回目となりました！今回は、転倒・骨折についてです。今までは内部の疾患についての記述でしたが、今回は外傷についてのお話です。

　高齢の方と関わる際に、転倒や骨折は大変重要なテーマとなります。どうにかして転倒を予防すること、そして万一怪我をしてしまった場合は、可能な限り怪我の前まで身体の状態を回復させることが求められます。また、怪我から派生する様々な影響もかなり大きなものとなります。

　以下、詳しく見ていきましょう。

②転倒・骨折の考え方

　本記事は転倒と骨折をまとめて書いていますが、必ずしも転倒イコール骨折ではありません。ただし、高齢者の場合骨折の可能性はかなり高いので「転倒した」という報せを聞いたら、まずは骨折の有無を確認しましょう。

　転倒の要因としては、下肢筋力低下、歩行バランスの低下、注意散漫、眩暈、認知症、など数多く考えられます。床とカーペットのごくわずかな隙間で躓いてしまうこともあります。他には、床が散らかっていて何かを踏んだ、猫が纏わりついてバランスを崩した、などの理由も聞いたことがあります。

幸い、私たちはご自宅へ伺うことができますので、家の環境を見て、どこに転倒リスクがあるかしっかり把握し、注意と対策をご本人様にお伝えしましょう。ケアマネージャーに相談するのもいいですね。

　高齢者は「大腿骨頸部骨折」「上腕骨近位部骨折」「橈骨遠位端（手首）骨折」「脊椎圧迫骨折」が起こりやすいとされています。特に大腿骨頸部骨折は予後が悪く、車椅子や寝たきりの原因となりやすいものです。一度の転倒が元で取り返しがつかなくなってしまうことが多いので、転倒予防や注意喚起は徹底的に行いましょう。

③転倒・骨折の影響

　直接的な影響では、もちろん運動機能障害が考えられます。おおよそ数週間から数ヶ月単位の入院が考えられますので、その間はベッド上で生活であるため脚を使うことが極端に減り、筋力低下、関節拘縮などADLの急激な低下が予想されます。先にも述べた通り、特に大腿骨頸部骨折は予後が悪く、車椅子や寝たきりになる確率が他よりも高めです。

　精神的な影響も大きなものがあります。転倒・骨折したことによるショックや自責の念、疼痛のストレスも重なり、「もうこれで自分はお終いだ」といった悲観的な考えが浮かんでくることも多いでしょう。抑うつ症状が現れることも考えられます。ネガティブな精神状態は予後に大きな影響を及ぼします。

　また、入院生活が長引くと日々の刺激が減るため、認知症を発症したり、症状が大幅に進行したりすることも多いようです。骨折そのものが治ったとしても、認知症状が元に戻る保証はなく、転倒前の生活に戻ることが困難なケースは多発しています。

④訪問鍼灸・マッサージの関わり方

　私たちが関われるのは、退院後になります。併せて訪問リハビリを使う方も多いと思われますので、連携が大切です。

　施術においては、転倒や骨折部位周囲の筋緊張緩和、血流改善、関節拘縮の改善や予防が必要です。もちろん、骨折部位だけでなく、全身の施術が望ましいでしょう。

　精神的なケアも必要です。先に述べた通り、患者様によってはショックから立ち直れなかったり、悲観されていたりする方も多いと思われます。そのため、自分が関わることで少しでも明るく過ごせるように努めることや、「一緒に良くなっていきましょうね」など温かく優しい言葉がけが大切です。

　転倒した原因が明確であれば、それを把握し再発予防に努めましょう。身体的な原因の場合もあれば、部屋が狭い、散らかっているなどの環境要因もあります。身体的な原因であれば、筋力低下予防やバランス能力維持が、対策として挙げられます。環境要因であれば、例えば福祉装具を頼めば解決するケースも多いので、ケアマネージャーや介護事業者とも連携するなど、チームとして積極的に関わっていくことが肝要です。

⑤さいごに

　高齢者の在宅生活にとって、転倒や骨折は常に想定されるリスクです。どのようなリスクがあるか、どのような対応をすれば被害を最小限に防げるか、または再発を予防できるかを、常に考えておきたいところです。

私たちは訪問鍼灸マッサージ事業者ですが、その枠組みの中だけに囚われず、総合的な目線が必要になってくるのではないかと思います。この文章が、少しでも皆様の助けになれば幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました！