訪問マッサージ・鍼灸による「長期、頻回の施術」についての変更点
訪問マッサージ・鍼灸による「長期・頻回」の施術について
①はじめに
②具体的な内容
③考えられる影響
④対応
⑤まとめ
①はじめに
今回は、訪問マッサージ・鍼灸による「長期・頻回」の施術に関する制度改定についての記事を投稿させていただきます。
これまでの制度では、長期頻回の施術の場合、「1年以上かつ月16回」を超えて訪問マッサージや鍼灸の施術を行った場合、「1年以上・月16回以上施術継続理由・状態記入書」をレセプト(療養費支給申請書)に添付する必要がありました。
今回の改定により、書式に若干の変更があったほか、運用面においても重要なルールが加えられました。
②具体的な内容
具体的にどのような変更があったのか記載していきます。
厚生労働省ホームページにある01ー1 受領委任改正(長期・頻回)(局長通知) (mhlw.go.jp)に詳細があります。
追加、変更されたフォーマットもホームページからダウンロードできますので、ご確認の上、レセプト(療養費支給申請書)に添付してください。
今回の改定は、2021年7月から適用となります。下記に通知の重要箇所を抜粋します。
1)施行日(令和3年7月1日)以降において、初療日から2年 以上施術が実施されており、かつ直近の2年のうち5ヶ月以上 月16回以上の施術が実施されている患者が該当。
2)当該の患者に対し、施術管理者宛てに「長期・頻回警告通知」が送付される。
3)長期・頻回警告通知が到着した月の翌月以降に、更に月16 回以上の施術が行われた場合には、「1年以上・月16回以上施術継続理由・状態 記入書」に加え、「頻回な施術を必要とした詳細な理由及び今後の施術計画書」を添付する必要がある。
4)施術計画書を確認した結果、施術効果を超えた過度・頻回な 施術が疑われる場合は、施術管理者及び患者に対して償還払いに変更する旨を通知する(償還払い変更通知)。
③考えられる影響
上記の4)の対象となった場合、該当する患者様は受領委任制度から外れ、償還払いになると記載されています。その場合、どのようなこと影響が考えられるでしょうか。
具体的な数字で考えてみます。
1ヶ月に16回の施術ということは、一回当たりの施術が例えば4,000円(往療距離4キロ未満でマッサージのみ)であった場合、一月で約6,400円の請求が発生します。
受領委任払いですと患者様の負担はその月に一部負担金である6,400円~19,200円となります。
ところが、償還払い変更通知が届き受領委任制度を外されてしまい、償還払いになってしまうと、患者様の月々の支払い時に全額である6,400円をご負担いただく必要があります。
その後、償還払いにより患者様に保険分の7割~9割が保険者より戻ってくる流れとなります。
償還払いにて患者様の口座に振り込まれるまでは、保険者によりますが2ヶ月から半年くらいかかる場合があります。
最終的な自己負担額は同じですが、一時的にお支払いいただく金額が10割になってしまうため、患者様に金銭的な負担がかかることになります。
④対応
今回の制度改正により、影響の出る可能性がある患者様には事前にご説明を差し上げることが大切です。患者様により、様々背景も異なりますが、請求方法の変更の可能性について事前に説明することで、償還払いの対象になった場合においても患者様の理解を得られやすいのではないかと考えます。
また、長期、頻回警告通知が届いた場合は、今一度訪問回数について再考し、可能であれば、翌月から月の施術回数を15回以下に抑えることで、受領委任制度での請求を継続するという選択肢もありそうです。
ただ、治療のため月16回以上の訪問マッサージや鍼灸の施術が真に必要だと思われる症状の患者様に対しては、「1年以上・月 16 回以上施術継続理由・状態 記入書」及び「頻回な施術を必要とした詳細な理由及び今後の施術計画書」を誠実に記載し、レセプト(療養費至急申請書に添付して保険者へ提出しましょう。
保険者の理解を得られれば、月16回以上の治療を継続しても受領委任制度での請求継続が可能となる可能性があります。
⑤まとめ
本制度は2021年7月から適用になります。
あらかじめ厚生労働省HPからフォーマットをダウンロードして準備しておきましょう。
また、突然償還払いになってしまった場合は、一時的でも患者様に大きなご負担をおかけすることになります。
そのため、今のうちから訪問回数の再考や、長期頻回警告通知が届いた際の対応策を事前検討しておくと良いでしょう。